
アレルギー性鼻炎と経済損失の関係
Q1.アレルギー性鼻炎は「経済損失」につながる病気なのですか?
A.はい、実は大きな経済損失につながる疾患です。
アレルギー性鼻炎は命に関わる病気ではありませんが、集中力低下・眠気・作業効率の低下を引き起こします。その結果、仕事や学業のパフォーマンスが落ち、社会全体で見ると大きな経済的損失が生じると報告されています。
Q2.どのような形で経済損失が起こるのですか?
A.主に「欠勤」と「出勤していても効率が落ちること」です。
鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみなどの症状により、
・仕事や学校を休む(欠勤)
・出勤・登校しても集中できず能率が下がる(プレゼンティーイズム)
といった状態が起こります。特に後者は本人も周囲も気づきにくく、損失が積み重なりやすいとされています。
Q3.花粉症の時期だけの問題ではないのですか?
A.いいえ、通年性アレルギー性鼻炎も影響します。
スギ花粉症などの季節性だけでなく、ダニ・ハウスダストによる通年性アレルギー性鼻炎でも、慢性的な鼻づまりや睡眠の質低下が続きます。これにより、年間を通じて集中力や判断力が低下し、長期的な経済損失につながります。
Q4.治療をすると経済損失は減らせるのでしょうか?
A.適切な治療で、仕事や学業の効率改善が期待できます。
抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬、舌下免疫療法などにより症状をコントロールすると、
・日中の眠気や集中力低下が改善
・欠勤や作業ミスの減少
が期待できます。医療費はかかりますが、長期的には「治療しないことの損失」の方が大きいと考えられています。
Q5.「我慢する」のは経済的にも損なのですか?
A.はい、結果的に損になることが多いです。
「そのうち治る」「毎年のことだから」と症状を放置すると、仕事や勉強の質が落ち続けます。本人の負担だけでなく、職場や家庭、社会全体にも影響します。アレルギー性鼻炎は“我慢する病気”ではなく、きちんと対処することで生活の質と生産性を守れる病気です。
院長コメント
アレルギー性鼻炎は「命に関わらない病気」と思われがちですが、鼻づまりや睡眠の質低下、集中力の低下は、仕事や学業のパフォーマンスに確実に影響します。
症状を我慢することが「当たり前」になっている方も多いですが、適切な治療により日常生活の質だけでなく、生産性の改善も期待できます。
鼻の症状が続いている方は、生活や仕事への影響も含めて、一度ご相談ください。
医学的根拠
・アレルギー性鼻炎は、欠勤(absenteeism)よりも出勤しているにもかかわらず作業効率が低下する「プレゼンティーイズム」による経済損失が大きいことが報告されています。
・鼻づまりや夜間症状は睡眠の質を低下させ、日中の眠気・集中力低下を引き起こします。
・適切な薬物治療や免疫療法により、症状の改善とともに仕事・学業のパフォーマンス向上が認められています。
・医療費を含めても、治療介入により社会的・経済的損失が軽減される可能性が示唆されています。
合わせて読みたい
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→ 鼻のトラブル・疾患についてはこちら
→ 睡眠の乱れと経済損失の関係については こちら
参考文献
-
Canonica GW, et al.
Impact of allergic rhinitis on work productivity.
Current Medical Research and Opinion. 2007. -
Bousquet J, et al.
Allergic rhinitis and its impact on work productivity.
Journal of Allergy and Clinical Immunology. 2001. -
Crystal-Peters J, et al.
The cost of productivity losses associated with allergic rhinitis.
American Journal of Managed Care. 2000. -
日本アレルギー学会
鼻アレルギー診療ガイドライン(最新改訂版)

