
味覚障害の原因についてのQ&A
Q1.味覚障害とはどのような症状ですか?
A.味覚障害とは、食べ物の「甘い・塩辛い・苦い・酸っぱい・うま味」といった味を感じにくくなる、あるいは全く感じなくなる状態を指します。
「味が薄い」「何を食べてもおいしくない」「金属のような味がする」など、症状の現れ方はさまざまです。
Q2.味覚障害の原因は、口の中の問題だけですか?
A.いいえ。味覚障害の原因は、必ずしも舌や口の中にあるとは限りません。
実際には、鼻(嗅覚)の障害が原因となっているケースが非常に多いことが分かっています。
私たちが「味」と感じている感覚の多くは、食べ物の香りが鼻の奥(嗅上皮)に届くことで生じる「風味(フレーバー)」によるものです。
Q3.「味がわからない」のに、嗅覚が関係しているのはなぜですか?
A.食事中、食べ物の香りは口の奥から鼻へ抜けて感じられます(これをレトロネーザル嗅覚といいます)。
この嗅覚が低下すると、舌の味覚は正常でも「味がしない」と感じてしまいます。
米国の研究では、味覚障害を訴える患者の多くが、実際には嗅覚機能の低下を伴っていたことが報告されています。
Q4.研究では、味覚障害の患者にどのような結果が示されましたか?
A.米バージニア・コモンウェルス大学のReiter氏らの研究では、味覚・嗅覚外来を受診した患者を詳細に検討しました。
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味覚と嗅覚の両方に異常を訴えた患者の86.8%に嗅覚異常
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実際に味覚そのものの異常が確認されたのは9.5%のみ
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「味覚異常のみ」を訴えた患者でも、約44%に嗅覚異常が存在
つまり、「味覚障害=嗅覚障害が隠れている」ケースが非常に多いことが明らかになりました。
Q5.味覚障害を感じたら、どうすればよいですか?
A.まず重要なのは、自己判断せず、耳鼻咽喉科で評価を受けることです。
鼻炎・副鼻腔炎、かぜ後嗅覚障害、加齢、薬剤、全身疾患など、原因は多岐にわたります。
味覚検査だけでなく、嗅覚検査や鼻の状態の確認を行うことで、適切な治療方針が見えてきます。
合わせて読みたい
→ 味覚障害と鼻疾患の関係
院長コメント
「味がしない=舌の異常」と思われがちですが、実際の診療では鼻の治療で味の感じ方が改善するケースを多く経験します。
とくに慢性的な鼻づまりや、かぜ・感染症後の嗅覚低下が見逃されていることは少なくありません。
味覚障害は生活の質に直結する症状です。早めの受診と正確な評価が大切です。
医学的根拠
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味覚と嗅覚は密接に連動しており、日常の「味」の多くは嗅覚入力に依存している
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味覚障害を訴える患者の大多数で、客観的には嗅覚機能低下が確認される
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味覚単独障害は比較的まれであり、鑑別診断には嗅覚評価が不可欠
参考文献
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Reiter ER, et al.
Evaluation of patients with taste and smell disorders.
International Forum of Allergy & Rhinology. 2018; Online ahead of print. -
Hummel T, et al.
Position paper on olfactory dysfunction.
Rhinology. 2017; 54(Suppl 26): 1–30. -
Doty RL.
Smell and taste disorders.
Continuum (Minneap Minn). 2019; 25(4): 1143–1162.

