
嗅覚障害の原因についてのQ&A
Q1.嗅覚障害とは、どのような状態ですか?
A. においを感じにくい、まったく感じない、またはにおいの感じ方が変わる状態を指します。
代表的には
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においが弱くなる(嗅覚低下)
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においが全く分からない(嗅覚脱失)
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本来と違うにおいに感じる(異嗅症)
などがあります。
日常生活では、食事の風味低下やガス漏れ・焦げ臭への気づきにくさなどが問題になります。
Q2.嗅覚障害の主な原因は何ですか?
A. 大きく分けて、以下の3つに分類されます。
1.鼻の通りが悪くなるタイプ(呼吸性嗅覚障害)
・アレルギー性鼻炎
・副鼻腔炎(蓄膿症)
・鼻中隔弯曲症
などで、においの分子が嗅粘膜まで届かなくなります。
2.嗅粘膜そのものの障害(嗅上皮性)
・ウイルス感染後(かぜ、インフルエンザなど)
・加齢
・薬剤や化学物質の影響
3.神経・中枢の障害(中枢性)
・頭部外傷
・脳の病気(まれ)
最も多いのは「鼻の病気」や「感染後」によるものです。
Q3.風邪やウイルス感染で嗅覚が戻らないことはありますか?
A. はい、あります。
ウイルス感染後に嗅神経や嗅上皮がダメージを受けると、鼻づまりが治っても嗅覚だけが回復しないことがあります。
この場合、
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回復に数か月以上かかる
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異嗅症(変なにおい)が出る
といった経過をたどることも珍しくありません。
早期に耳鼻咽喉科で評価・治療を行うことが重要です。
Q4.嗅覚障害と味覚障害は関係がありますか?
A. 非常に深い関係があります。
私たちが「味」と感じているものの多くは、**実は嗅覚(風味)**によるものです。
嗅覚が低下すると、
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食事の味が薄く感じる
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何を食べても同じに感じる
といった症状が現れ、味覚障害と誤解されることもあります。
👉 味覚障害の原因が“鼻”にあるケースも少なくありません。
Q5.嗅覚障害は治りますか?
A. 原因によって改善の可能性は異なりますが、治療で改善が期待できるケースは多いです。
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鼻炎・副鼻腔炎:薬物治療や局所治療
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感染後嗅覚障害:内服治療+嗅覚トレーニング
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鼻の形態異常:必要に応じて手術
「年のせい」「仕方ない」と自己判断せず、原因検索が大切です。
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院長コメント
嗅覚障害は、命に直接関わる症状ではないため後回しにされがちですが、
食事の楽しみ・生活の質(QOL)に大きく影響する重要な感覚障害です。
また、「味がしない」という訴えの背景に、嗅覚障害が隠れていることも多くあります。
味覚と嗅覚はセットで評価することが、正しい診断への近道です。
違和感を感じたら、早めに耳鼻咽喉科へご相談ください。
医学的根拠
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嗅覚は嗅上皮・嗅神経・中枢のいずれかの障害で低下する
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嗅覚障害の最多原因は鼻副鼻腔疾患と感染後嗅覚障害
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食事の「風味認知」は嗅覚への依存度が高く、嗅覚低下は味覚低下として自覚されやすい
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早期介入により改善率が高まるとの報告がある
参考文献
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Doty RL, et al. Olfactory dysfunction in disease. Physiol Rev. 2001.
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Seiden AM. Postviral olfactory loss. Otolaryngol Clin North Am. 2004.
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Hummel T, et al. Position paper on olfactory dysfunction. Rhinology. 2017.
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Deems DA, et al. Causes of olfactory dysfunction. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 1991.

