
体の冷えと体調不良 ― 冷えが良くない理由
◆ 院長コメント
冬場や季節の変わり目になると、「なんとなく体調がすぐれない」「風邪をひきやすい」「疲れが取れない」と訴える方が増えてきます。
診療の現場でも、
・手足が冷えやすい ・お腹を触ると冷たい ・冷房や薄着がつらい
といった“冷えの自覚”がある方ほど、体調不良を繰り返している印象があります。
冷えは単なる体質ではなく、血流・自律神経・免疫の働きに影響する「体の状態」です。知らないうちに続いている生活習慣が、体調を崩しやすい土台を作っていることも少なくありません。
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◆ 医学的に考える「冷えが体に良くない理由」
① 冷えは血流を低下させ、体の回復力を落とす
体が冷えると末梢血管が収縮し、血流が低下します。その結果、酸素や栄養素、免疫細胞が必要な場所に届きにくくなります。
血流低下は、 ・疲労回復の遅れ ・筋肉や関節のこわばり ・内臓機能の低下
につながり、全身のコンディションを崩しやすくします。
② 冷えは自律神経を乱しやすい
体温調節は自律神経の重要な役割です。冷えが続く環境では、交感神経が優位な状態が続きやすくなります。
その結果、 ・寝つきが悪い ・眠りが浅い ・動悸やだるさを感じやすい
といった不調が現れやすくなります。自律神経の乱れは、睡眠の質や免疫機能にも影響します。
③ 冷えは免疫力低下につながる
免疫細胞は体温が適切に保たれている環境で、最も効率よく働きます。体温が低下すると、免疫細胞の活動性が落ちることが知られています。
そのため冷えが続くと、 ・風邪をひきやすい ・治るまでに時間がかかる ・同じ感染症を繰り返す、といった状態になりやすくなります。
④ 鼻・のどの局所防御機能も影響を受ける
冷えによる血流低下や自律神経の乱れは、鼻やのどの粘膜環境にも影響します。
粘膜の血流や分泌機能が低下すると、 ・のどの乾燥 ・ウイルスや細菌への抵抗力低下 ・炎症の治りにくさ
につながり、耳鼻咽喉科領域のトラブルを起こしやすくなります。
◆ まとめ
・冷えは「体質」ではなく「体調管理の問題」
・血流・自律神経・免疫に影響する
・全身の不調や風邪の引きやすさにつながる
・日常の小さな習慣改善が、体調予防につながる
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◆ 参考文献
Thermoregulation and immune response: Blatteis CM. Fever: pathological or physiological, injurious or beneficial? J Therm Biol. 2003.
Guyton AC, Hall JE. Textbook of Medical Physiology. Elsevier.
Kandel ER et al. Principles of Neural Science. McGraw-Hill.
Okamoto-Mizuno K, Mizuno K. Effects of thermal environment on sleep and circadian rhythm. J Physiol Anthropol. 2012.

