
睡眠とスポーツの関係についてのQ&A
Q1.睡眠不足はスポーツのパフォーマンスに影響しますか?
A.はい、明確に影響します。 睡眠時間を短縮した翌朝に、最大酸素摂取量(VO₂max)の約75%に相当する強度でランニングを行った研究では、通常の睡眠をとった場合に比べて疲労困憊に至るまでの運動継続時間が有意に短縮しました。
一見すると運動中の脂肪酸化は亢進しますが、これは「効率が上がった」のではなく、体がエネルギー不足状態に近づいているサインと考えられています。
Q2.睡眠不足でもトレーニング効果は得られるのでしょうか?
A.限定的で、むしろ逆効果になることがあります。 睡眠不足の状態では、
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持久力の低下
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集中力・判断力の低下
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フォームの乱れ などが起こりやすく、ケガやオーバートレーニングのリスクが上昇します。
短期的な「追い込み」は可能でも、中長期的なパフォーマンス向上には十分な睡眠が不可欠です。
Q3.夜の運動は睡眠に悪いのですか?
A.内容とタイミングによります。 睡眠直前の高強度運動は、交感神経を強く刺激し、
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入眠困難
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中途覚醒の増加 など、夜間睡眠に悪影響を与えることが報告されています。
特に心拍数が大きく上がるトレーニングを就寝直前に行うのは注意が必要です。
Q4.睡眠の質を高めるためにおすすめの運動タイミングはありますか?
A.就寝の2~3時間前に行う軽めの運動が有効です。 就寝約2時間半前に、1時間程度の軽い運動を行うことで、
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入眠がスムーズになる
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深い睡眠が得られやすくなる といった睡眠の質改善効果が示されています。
ウォーキング、軽いジョギング、ストレッチなどが適しています。
Q5.運動強度によって睡眠への影響は変わりますか?
A.はい、変わります。 最大酸素摂取量の50%以下の低~中等度運動は、 70%以上の高強度運動に比べて、
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入眠後の覚醒時間が短く
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睡眠が安定しやすい ことが報告されています。
「よく眠るための運動」と「競技力向上のための追い込み」は、目的を分けて考えることが重要です。
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院長コメント
アスリートや運動習慣のある方は、より高いパフォーマンスを目指して高強度トレーニングを行いますが、その一方で疲労回復に不可欠な睡眠の質が犠牲になるというジレンマに陥りがちです。
「頑張る日」と「回復を優先する日」を意識的に分け、
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トレーニング強度
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実施時間帯
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睡眠時間 をバランスよくスケジューリングすることが、結果的に競技力向上への近道になります。
医学的根拠
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睡眠制限下での持久系運動では、脂肪酸化の亢進と運動持続時間の短縮が認められている
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就寝直前の高強度運動は交感神経活動を高め、睡眠を阻害する
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就寝2~3時間前の軽~中等度運動は、睡眠の質改善に寄与する
参考文献
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Mamiya H, et al. Effects of sleep deprivation on substrate oxidation and endurance exercise performance. J Physiol Anthropol. 2020.
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Kubitz KA, et al. The effects of acute and chronic exercise on sleep. Sports Med.
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Yoshida H, et al. Timing of exercise and its effects on nocturnal sleep. Sleep Biol Rhythms

