◆ 顎下腺唾石症 ◆
食事中に“顎の下が痛い・腫れる”ことはありませんか?
唾液をつくる大きな唾液腺には
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耳の前にある「耳下腺」
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顎の下にある「顎下腺」 があります。
顎下腺に、尿路結石と同じように“石(唾石)”ができる病気 が「顎下腺唾石症」です。
顎の下に左右1つずつある顎下腺のどちらかに石が詰まると、唾液が流れにくくなり、さまざまな症状が起こります。
● 顎下腺唾石症の主な症状
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顎の下(片側)の腫れ
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痛み(特に食事中/食後に強くなる)
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のどの奥・舌の付け根あたりの違和感
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膿が出ることがある
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発熱(感染を起こした場合)
特徴的なのは、“食事をすると腫れて、しばらくすると引く”という波のある症状です。
これは、食事中に唾液が分泌されるのに、石で出口が塞がれ、腺内に唾液が溜まってしまうためです。
● 唾石はなぜできる?
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唾液の流れが滞る
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唾液中のカルシウム成分が固まる
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口腔内の炎症 などが組み合わさって形成されると考えられています。
顎下腺は元々“粘りのある唾液”が多いため、石ができやすい部位なんです。
● 診断
耳鼻咽喉科では、
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触診(指で触れると石に触れることも)
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エコー(超音波)検査
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CT検査(必要に応じて) などで診断します。
● 顎下腺唾石症の治療
石の大きさ・位置によって治療が異なります。
1:自然に出てくるのを待つ
小さな石は、マッサージ、多めの水分摂取、すっぱい物(レモンなど)を摂って唾液分泌を促す
ことで自然に排出されることがあります。
ただし、顎下腺に炎症がある時にはかえって炎症を強めてしまうので、適切な判断が必要です。
2:耳鼻科での摘出
唾液分泌の管の出口付近に石がある場合は、口の中から石を取り除けることがあります。
局所麻酔で行えることが多いです。
3:感染がある場合
抗生剤・消炎剤などを使用し、炎症を抑えます。
4:特殊なケース
石が大きい、深い位置にある場合は、専門施設へ紹介し内視鏡的治療や手術が選択されることもあります。
● 受診の目安
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食事のたびに顎の下が腫れる
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片側だけ腫れが続く
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発熱・強い痛みがある
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膿(うみ)が出る感じがある
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症状が何度も繰り返す
こうした症状は唾石症の可能性が高いので、早めの受診をおすすめします。

◆ 甲状腺疾患 ◆
「首が腫れている」「圧迫感がある」…その症状、甲状腺かもしれません。
首の前側にある小さな臓器「甲状腺」は、体の代謝を調整するホルモンを分泌しています。
この甲状腺に異常が起こると、首の腫れ・違和感 だけでなく、ホルモンバランスの乱れによる全身症状につながることもあります。
健診や人間ドックで偶然見つかることも多い疾患です。
● 甲状腺のう胞(嚢胞)
甲状腺内に液体が溜まる袋状の変化で、良性がほとんど。
大きくなると首の腫れ、違和感、飲み込みにくさなどが出ることがあります。
(下画像:甲状腺のう胞のエコー所見)
● 甲状腺腫瘍(良性・悪性)
しこりとして触れることがあり、エコー検査で偶然見つかるケースも多いです。
悪性腫瘍の可能性がある場合は細胞診(針生検)、CT・MRIなどの追加検査を行い、確定診断に進みます。
(下画像:甲状腺腫瘍のMRI所見)
● 甲状腺炎(橋本病・亜急性甲状腺炎など)
炎症により甲状腺ホルモンが増えたり減ったりし、動悸、疲れやすい、むくみ、体重変化など全身に症状が出ることがあります。
採血検査によるホルモン値のチェックを行い、必要に応じて専門医への紹介も検討します。
■ 甲状腺疾患の主な症状
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首の前側の腫れ・しこり
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首の圧迫感・違和感
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飲み込みにくい
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声がかすれる(大きな腫瘍の場合)
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動悸・手のふるえ(ホルモン異常)
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倦怠感・体重変化
「首の腫れ」に気づいて受診される方は多いですが、全身の不調から甲状腺が見つかることも珍しくありません。
■ 診断方法
耳鼻咽喉科では以下の検査を必要に応じて行います。
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超音波検査 :のう胞・腫瘍の有無や大きさを確認
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採血検査 :甲状腺ホルモン(TSH, FT3, FT4)や抗体の測定
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CT / MRI :しこりが深い位置にある場合
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細胞診(針生検) :腫瘍の確定診断が必要な場合
必要があれば、病院での精密検査・治療へ紹介します。
■ 治療について
疾患により治療法が異なります。
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のう胞 → 経過観察 / 必要に応じて液体吸引
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良性腫瘍 → 経過観察 or 手術
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悪性腫瘍 → 専門施設での加療
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甲状腺炎 → 内服治療(炎症抑制・ホルモン補充など)
■ 受診をおすすめする症状
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首のしこり・腫れに気づいた
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のどの圧迫感が続く
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飲み込みにくさがある
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声が急にかすれてきた
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健診で甲状腺の異常を指摘された
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動悸・汗が多い・疲れやすい などの全身症状がある
甲状腺の病気は、早期発見・早期治療がとても大切です。
気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください。

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◆ 耳下腺腫瘍 ◆
耳の前〜下にある「耳下腺」は唾液をつくる大切な器官です。
おたふく風邪で腫れる場所として知られていますが、腫れの原因は感染症だけでなく、腫瘍によるものもあります。
● 耳下腺腫瘍の主な症状
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耳の下の無痛性の腫れ(最も多い)
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ゆっくりと大きくなるしこり
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まれに痛み(炎症を伴う場合)
昔話「こぶ取りじいさん」の“こぶ”は耳下腺腫瘍だったという説もあるほど、良性腫瘍は長い時間をかけて大きくなるのが特徴です。
● 良性腫瘍と悪性腫瘍の違い
<良性腫瘍>
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痛みのない腫れ
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徐々に大きくなる
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触ると比較的よく動く
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多くは手術で摘出可能
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<悪性腫瘍>
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痛みを伴うことが増える
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しこりが硬く、動きにくい
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進行すると 顔面神経麻痺(まぶたが閉じにくい、口角が下がる など) を生じることがある
※耳下腺の中を顔面神経が走っているため
● 検査について
耳下腺腫瘍が疑われる場合、
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超音波検査
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CT・MRI
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必要に応じて 穿刺吸引細胞診(FNA) などを行い、腫瘍の種類を判断します。
● 受診の目安
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耳の横〜下に 片側だけの腫れ がある
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しこりが 徐々に大きく なってきている
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痛みや、口の動かしにくさ・顔の左右差が出てきた
これらの場合は、早めの受診をお勧めします。
耳下腺腫瘍は良性であっても経過観察では進行することが多く、早期評価が大切です。
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