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● 睡眠時無呼吸症候群とは?
 

◆ はじめに 

 

 いびきをかいているとき、私たちの睡眠の質はどうなっているのでしょうか。
人間の睡眠は ノンレム睡眠 と レム睡眠 を周期的に繰り返しています。

◆ ノンレム睡眠(深い眠り)

 

 ノンレム睡眠は眠りの深さによって4段階に分けられます。

  • 第1段階:うとうとした浅い眠り

  • 第2段階:軽い寝息が聞こえる段階

  • 第3・4段階:もっとも深い睡眠(熟睡)

この時期は 脈拍・呼吸・血圧などが安定し、脳がしっかり休むために重要な時間 です。

◆ レム睡眠(夢を見る眠り)

 

 レム睡眠では

  • 眼球が急速に動く(急速眼球運動)

  • 脈拍・呼吸・血圧が不規則に変化する
    一方で、身体の筋肉はほぼ脱力した状態 になります。
    身体を休めつつ、脳が活動している特殊な睡眠です。

◆ 睡眠時無呼吸がある人の睡眠はどうなる?

 

 健康な人は、浅いノンレム睡眠 → 深いノンレム睡眠 → レム睡眠という流れをスムーズに繰り返します。

しかし、いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)がある場合、

  • レム睡眠に入る前に息苦しさが起こる

  • 途中で呼吸が弱くなり、脳が覚醒してしまう

  • 目を覚ましていなくても、脳が“何度も中途覚醒状態”になる

といったことが繰り返され、熟睡できない状態が慢性的に続きます。

その結果、

  • 日中の眠気

  • 集中力の低下

  • 朝の頭痛

  • だるさ

  • 高血圧・不整脈などの合併症  にもつながることが知られています。

図: 健常者とSAS患者の睡眠構築

( HOME CARE TODAY vol.7 No.3 2003 より )

 健常者(A)に比べて、SAS患者(B)では、深睡眠であるnon-REM睡眠3~4期(S3~S4)がほとんどなく、中途覚醒(wake)が頻発している。

睡眠ステージ

〓 中枢型 〓

 上気道を含む肺、胸郭、呼吸筋、末梢神経にも異常はないのに、呼吸中枢の障害によって、呼吸を促している筋肉が動かなくなって無呼吸状態になるものです。いびきはそれほど大きくなく、加齢などで増加します。

〓 混合型 〓

​ 中枢型の無呼吸と閉塞型の無呼吸が複合するものです。

中枢性無呼吸
◆ 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)の定義

 ひと晩7時間の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、

or 1時間当たりの睡眠中に10秒以上の無呼吸が5回以上

又は、

 睡眠中に10秒以上の無呼吸あるいは低呼吸状態が反復して起こり(1時間あたり5回以上)、

昼間の眠気や易疲労性などの症状を伴う病態

 

◆ 無呼吸が起こると体の中では何が起きている?

 

 睡眠中に無呼吸・低呼吸が起こると、

  • 血中の 酸素が減り(低酸素)

  • 二酸化炭素が増える

この変化が脳を刺激し、脳は「息ができていない!」と判断して 覚醒反応(浅い覚醒) を起こします。
このとき、脳は呼吸中枢を通じて 呼吸筋(横隔膜など)に“もっと強く呼吸しなさい” という指令を出し、呼吸の力を強めます。

気道(空気の通り道)が狭く・閉じやすくなっている人の場合、呼吸筋が頑張って強く吸い込む力 > 気道の閉塞になった瞬間に、気道が「バッ」と開きます。

そのときに起こるのが、無呼吸 → いったん静か → その後の大きないびき(回復の呼吸)です。

◆ なぜ熟睡できなくなるのか?

 

 SAS の患者さんは一晩の睡眠中に、

  • 無呼吸・低呼吸

  • その後の激しいいびき(呼吸再開)

を 何十回・何百回 と繰り返します。

そのたびに脳が覚醒するため、本人の自覚がなくても“断続的に何度も起きている”状態 になり、結果として:

  • 深い睡眠が取れない

  • 熟睡感がない

  • 朝からだるい

  • 昼間に強い眠気が出る  という症状につながります。

◆ 睡眠時無呼吸の型

 

無呼吸は以下に示す三つの型に分けられます。


〓 閉塞型 〓
 胸部や腹部による呼吸運動が行われているにもかかわらず上気道が閉塞して鼻や口呼吸できなく無呼吸となるもの。

呼吸再開時に大きな「いびき」を伴うのが特徴です。
身体の構造上の問題、つまり、鼻中隔弯曲症や扁桃肥大などの
鼻やのどの異常、また、あごが小さいとか肥満になどによって気道が閉塞して起こるものです

 SASの95%を占め、最も身体へ悪影響を与えるタイプです。

 

閉塞性無呼吸
◆ 睡眠時無呼吸の原因・頻度

 

 いびきはのどの奥、口蓋垂(のどちんこ)と軟口蓋(のどちんこの周辺)の粘膜が振動して起こる場合が多いのです。
呼吸というのは、鼻で空気を吸い込んで肺に送り、逆に肺から二酸化炭素を吐き出します。このとき、空気や二酸化炭素は、のどの奥の「気道」を通っていきます。

  睡眠状態では全身の筋肉がゆるみ、上気道が狭くなります。さらに、舌のつけ根が落ち込みさらに気道が狭くなるのです。通常の場合は呼吸に影響を与えるほどの変化は起こりませんが、気道の形態的もしくは機能的な障害がある場合にはいびきとなり、さらに上気道が完全にふさがれてしまうと睡眠時無呼吸を引き起こします。

 

上気道がふさがれる原因として多いのは次に示す通り。
 

1)肥満
2)軟口蓋(咽頭の奥の粘膜)の余剰粘膜が多い、舌・扁桃が大きい
3)顎が小さい
4)鼻づまりがあり、口で呼吸をしている

 SASの頻度としては、成人男性の3~4%、女性の1~2%と言われています。その頻度は気管支喘息とほぼ同じです。

​年齢としては男性では40~50歳代に多く、女性では閉経後に増加します。

無呼吸イメージ


a)正常の呼吸状態(気道が広く保たれている)
b)口蓋垂レベルで気道が閉塞(矢印の部分) 舌のつけ根が下方に落ち込み、さらに気道が狭くなる

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