睡眠時無呼吸症候群 Sleep Apnea Syndrome:SAS
● SASの治療効果
SASの治療を行うことで、様々な効果が得られます。
◎ 症状の軽減・消失
◎ 合併疾患の重症度軽減・軽症化
◎ 将来的な合併症の予防
ここでは、SASの治療効果に関する文献等を紹介します。
CPAP治療でゴルフのスコアアップ!
Treatment of obstructive sleep apnea syndrome with nasal positive airway pressure improves golf performance.
Benton ML, Friedman NS J Clin Sleep Med. 9:1237-42. 2013
新たにCPAPを開始した12名のOSAS患者でCPAP開始前後のゴルフのハンディキャップ等を比較。
CPAP群でハンディキャップは平均11%改善し、特にハンディキャップ12以下のゴルファーで平均32%と改善が著明であった。
<院長コメント>
何と、CPAPの治療効果はゴルフスコアにも表れるんですね!ゴルフ好きの私としては興味深々の論文です(笑)
無呼吸の弊害でラウンド中に集中し切れない、ということなんでしょうかね。
CPAP治療で眠気・疲労度・うつ状態が改善!
Effect of adherence on daytime sleepiness, fatigue, depression and sleep quality in the obstructive sleep apnea/hypopnea syndrome patients undertaking nasal continuous positive airway pressure therapy.
CPAP治療を行ったSAS患者76名を対象に最初の3ヵ月の間に日中と夜間症状の変化を調査した。
症状の変化はEpworth眠気スケール(ESS)、疲労重症度スケール(FSS)、Zungの自己評定抑うつ尺度(SDS)とピッツバーグ睡眠質インデックス(PSQI)を用いて評価。
CPAPを4時間以上装着した群で日中と夜間症状を効果的に改善し、6時間の装着で更なる改善が得られた。
<院長コメント>
私が患者さんに説明する際には、「一晩に4時間以上」「週に5日以上」を目指すようにしています。
継続することで短期的な効果だけでなく長期的な合併症予防にもつながりますから。
CPAP治療中のみなさん、根気よく続けて下さい、将来の自分のため・家族のためですから!
CPAP治療で高血圧の発症率低下!
Association Between Treated and Untreated Obstructive Sleep Apnea and Risk of Hypertension.
Martin JM et al JAMA 2012:307(20):2169-2176.
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の患者1889人を対象に、CPAP療法と高血圧発症リスクの関連を調査。
SASでない集団と比較した100人あたりの高血圧新規発症の数値は、CPAP不適格者1.33、CPAP拒絶者1.96、CPAP不順守者1.78、CPAP実施者0.71であった。
<院長コメント>
高血圧患者さんの80%以上は原因不明なんですが、その中の少なくない割合でSASが関与する、と言われています。
心筋梗塞や脳卒中のリスクは3-4倍とされており、やはりキチンとCPAPを使わないとダメですね。
高血圧の薬は続けるのにCPAPはサボる、なんて方にお会いすると思わず力説したくなります。
CPAP治療で糖尿病改善!
Association of sleep apnea and type II diabetes:A Population-based Study
Kevin J. Reichmuth Arch Intern Med 165(4)447-452
睡眠呼吸障害(SDB)を併発する2型糖尿病患者25例を対象に、血糖コントロールに対するCPAPの効果を評価した。CPAP前後に組織内のグルコース濃度、ヘモグロビンA1c濃度を測定した。CPAPにより食後1時間のグルコース濃度およびヘモグロビンA1c濃度に有意な減少が認められた。CPAPはSDB併発糖尿病患者の重要な治療法であることが示唆された。
<院長コメント>
我々の中ではSASが糖代謝に悪影響を及ぼすことはよく知られていますが、一般的にはあまり認知されていないようです。糖尿病のコントロールが不良だと将来的な合併症リスクを高めることにもなるわけですから、薬を飲むだけでなくCPAPもしっかりと継続するべきなんですね。
➡ SASとは?
➡ SASの治療効果