「ほんのちょっとだけ」口を開けちゃっていませんか?
◆ 急性咽頭炎・扁桃炎 ◆
ウイルスや細菌の感染が原因となり、急激な発熱やのどの痛みを引き起こすのが急性咽頭炎・扁桃炎です。
のどの腫れや痛み、咳、発熱などが起こり、乳幼児ではよだれが増えることがあります。
急性咽頭炎は大半がウイルス性であり、細菌性は成人で10%程度、小児は15~30%とされています。
細菌性の中で原因として多いのは「A郡溶血性連鎖球菌(いわゆる溶連菌)」です。
この場合には抗菌薬処方を含めての対処を必要とするんです。
「のどが痛いから抗生剤を!」というのは、厳密には正しくありません。
「処方が必要な症例を見極め、必要な症例には適切な種類の抗菌薬を必要な期間処方する」。
これが正しい対処法です。
少しずつでも、口呼吸が日常化しているとウイルスや細菌感染のリスクが高くなります!
ふとした時に「ほんのちょっとだけ」口を開けちゃっていませんか?
いつも100%の発声ができる方法なんて、ある?
◆ 声帯ポリープ・ポリープ様声帯・声帯結節 ◆
声がかれる代表的な疾患です。
声帯は左右にあり、息を吸う時は開き、声を出す時は声帯が合わさって振動するのです。
声をたくさん使う(=声帯が過剰に擦れる)ことで声帯粘膜に炎症が起こり、その状態が持続・継続されると声帯粘膜が腫れてきます。
結果として、
◎ 声帯粘膜の一部が水ぶくれみたいに腫れた状態が「声帯ポリープ」
◎ さらに炎症が強くなり声帯粘膜全体が水ぶくれのようになった状態が「ポリープ様声帯」
◎ 擦れ合わさった声帯粘膜の一部分がペンダコのように固くなった状態が「声帯結節」
いずれも、日常的に声を過剰に使用する方に多く起こります。
治療は、「とにかく喋らないこと!」です。
お仕事などでどうしても話さなければならない場合、必要最小限に声の使用を制限しなければなりません。
アーティストの方でも、のどの調子が悪くてライブを中止するケースもありますよね。
残念ながら”魔法のクスリ”は存在しないんです。
声を、のどを大切にしなければいけない人は、普段からのケアが一番重要なんですね。
少しでも具合が悪くなったら、こじれる前に対処!
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下の画像は左から「声帯ポリープ」「ポリープ様声帯」「声帯結節」です。
「これじゃぁ、キレイな声は出ないよねー」って感じですよね?
◆ 喉頭肉芽腫 ◆
同じく、声帯に発生する疾患です。
肉芽腫は半数以上が原因不明であり、一部は全身麻酔での手術時の気管内挿管による刺激と言われています。
最近では「逆流性食道炎」による胃酸刺激が誘因も一因とされています。
逆流性食道炎・・・ストレス、加齢、アルコール、ベルトによる圧迫等により胃酸が食道へ逆流。胸部痛、胸やけなどの症状と併せてのどの違和感・異物感などの原とされています。
主な症状は、「嗄声(させい:声枯れ)」「のどの違和感」です。
肉芽腫は癌になることは稀、とされていますが、嗄声が持続する場合は手術が選択されます。
逆流性食道炎への治療として胃酸分泌抑制剤やステロイド薬の処方を行うケースもあります。
下の画像は喉頭肉芽腫です。声帯ポリープや声帯結節と発生部位が異なるのが特徴ですね。
それ、「あーん」って食べて大丈夫?
◆ 咽頭異物 ◆
文字通り、のどに異物がある状態です。
代表的なものは「魚の骨」。その季節ごとに旬の魚の骨が刺さった患者さんが来られます。
魚骨の80%は扁桃に刺さるので比較的容易に摘出できますが、同じ扁桃でも奥の部分や舌根部に刺さった場合はやっかいです。時には麻酔をしてからの処置を要するんです。
ご高齢の方だと内服薬をPTP(薬の包装)ごと飲んでしまうことがあります。飲み込んでしまった場合は内科に依頼して消化管内視鏡による摘出依頼をしなくてはいけなくなります。くれぐれもご注意を。
「何だか のどの具合が悪いなー」って放置してない?
◆ のどの違和感・なかなか治らない痛み ◆
「何となくのどが詰まった感じがする・・・」
「口の中が何だか変・・・」なんていう訴えをの中に重大な疾患が隠れていることも。
脅かすつもりはありませんが、自身で理解できない原因不明の症状がある時は念のために注意が必要です。
一般的な健康診断ではのどの異常まで詳細に把握することは困難です。
以下にちょっと怖い疾患を示しますね。
写真ではわかりにくいですが、「舌癌」です。
口内炎を繰り返す先に発症することがあります。
ここで注意すべきは、
・”なかなか治らない口内炎”
・”いつも同じ場所に口内炎を起こす”こと。
多くは”いつも同じ場所に歯が当たる”こと!(=舌の縁が多い)
歯並びが良くない人は要注意です。
入歯・矯正器具などが当たるのも注意です。
また、飲酒・喫煙による慢性刺激もひとつの誘因ですね。
2枚目の写真で白線で囲った部分が腫瘍が占拠する部位です。
反対側と比べて明らかに腫れているのがおわかりですね?
同じ症例、3枚目のMRI画像の白線で囲った部分が全て腫瘍です。
見るからに「何か変?」ですよね。
この症例は「下咽頭癌」です。
この場所は食道の入口近くなので、”飲み込む時にひっかかる感じ”
などが多く見られます。
水分よりも固形物の飲み込みが困難、という場合は要注意です。
ここで、口内炎を起こしやすい原因をお示しします。
1:歯磨きの回数が少ない
口の中に食べかすが残ることで口腔内で細菌が繁殖し、清潔な環境を保てなくなります。寝る前はもちろん、食後は歯磨きをして口内をキレイにしましょう。
2:強すぎるブラッシング
必要以上に力を入れて磨くと歯茎や頬の内側に小さな傷ができ、細菌が繁殖してしまいます。歯みがきの時は力加減に注意しましょう。
3:口の中がよく乾燥する
唾液には細菌の繁殖を抑える抗菌作用があります。逆に、口内が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなってしまいます。
口呼吸のクセ・習慣がある人は要注意です!
4:食事のバランスが悪い
バランスの悪い食事をしているとビタミンが不足しがちです。栄養バランスを考慮した食事摂取を心掛けましょう。
5:過度の飲酒・喫煙
アルコール摂取・喫煙により体内のビタミンバランスが悪くなったり、局所刺激による口腔粘膜炎症の原因になります。
6:疲労やストレスなどによる免疫力の低下
睡眠不足、過労、ストレスなどによる体力の低下や免疫力の低下が口腔内環境の悪化を引き起こします。
7:ペットボトル飲料のじか飲み
口をつけて飲んだペットボトル飲料を放置することで、飲料内で細菌が繁殖します。その飲料を再度飲むことで、口腔内環境を悪化させてしまうのです。
のどの痛み・違和感が持続する、繰り返す場合は要注意です。
自身ののどの症状について過敏になる必要はありませんが、「必要な注意はする」と考えて下さい。
その他、慢性の咽喉頭の炎症や逆流性食道炎などでも同じような症状が出ます。
「繰り返す症状」「なかなか良くならない」場合は、念のためにチェックしましょうね。