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風邪に抗生物質は必要?黄色い鼻水やのどの痛みで抗菌薬を飲むべき?耳鼻咽喉科医が解説

 風邪をひいた患者さんが受診されたとき、

「早く治したいので抗生物質を処方して欲しい」「黄色い鼻水が出ているから抗生物質が必要ですよね?」「扁桃炎を起こしやすいのですが、早目に抗菌薬が必要ですか?」

などと言われることがあります。


実は、風邪の多くはウイルスが原因であり、抗生物質(抗菌薬)が効かないケースがほとんどです。

一方で、副鼻腔炎や扁桃炎、中耳炎などでは抗菌薬が必要になることもあります。

今回は、耳鼻咽喉科でよく相談される「風邪と抗生物質」について解説します。


◆ 風邪の原因の多くはウイルスです

 一般的な風邪では、のどの痛み・鼻水・鼻づまり・咳・発熱などの症状がみられます。

実は、これらのほとんどはウイルス感染によって起こります。


抗生物質(抗菌薬)は細菌を退治する薬であり、

  • 風邪

  • インフルエンザ

  • 新型コロナウイルス感染症

などのウイルス感染には効果がありません。

そのため、風邪だからといって必ず抗生物質が必要になるわけではありません。


▶ 院長が診察で必ずお伝えしている  「耳・鼻・のど・体調管理のQ&A(院長解説)」


◆ 黄色い鼻水が出たら細菌感染?

 患者さんから最もよく聞かれる質問の一つです。

結論から言うと、黄色い鼻水だけで細菌感染とは判断できません。

風邪をひいて数日経つと、鼻水や痰が黄色や緑色になることがあります。

これは炎症によって集まった白血球などの影響で起こる変化であり、ウイルス感染でもよくみられます。

そのため、「黄色い鼻水だから抗生物質が必要」とは限りません。


実際には、

  • 症状がどのくらい続いているか

  • 一度良くなった後に悪化していないか

  • 顔面痛があるか

  • 発熱が続いているか

などの症状・経過を総合的に判断します。



◆ 風邪のあとに細菌感染が起こることはある

 一方、風邪のあとや経過中に細菌感染が加わることがあり、これを「二次感染」や「細菌性混合感染」と呼びます。

耳鼻咽喉科でよく遭遇するのは以下のような病気です。

1)急性副鼻腔炎

  • 鼻づまりが続く

  • 粘り気の強い/色のついた鼻汁が出る

  • 頬や額が痛い

  • 症状が10日以上続く

  • 一度改善したあと再び悪化する

といった場合には細菌性副鼻腔炎を疑います。

2)急性中耳炎

  • 耳の痛み

  • 耳だれ

  • 聞こえにくさ

などがみられます。

3)細菌性扁桃炎

  • 強いのどの痛み

  • 高熱

  • 飲み込み時の強い痛み

  • 扁桃の白苔(白い膿)

  • 首のリンパ節の腫れ

などが特徴です。

これらの場合には抗菌薬の追加処方を検討する必要があります。


◆ 「予防のための抗生物質」は本当に効果がある?

 以前は、「副鼻腔炎や中耳炎にならないように」「細菌感染を予防するために」という理由で風邪に抗菌薬が処方されることがありました。

しかし現在では、その考え方は見直されています。


ある研究では、風邪などの気道感染症の患者さんに抗菌薬を投与した場合、約4,000人に投与して合併症を予防できたのは1人程度という結果が報告されています。

つまり、予防効果は極めて限定的ということです。

その一方で、下痢・腹痛・発疹・アレルギー反応などの副作用は一定の頻度で起こります。

そのため現在では、「念のため抗菌薬を出す」のではなく、「細菌感染が疑われる場合に必要な患者さんへ処方する」という考え方が主流になっています。


◆ なぜ抗生物質をむやみに使わないの?

 もう一つ大切な理由があります。

それは「薬剤耐性菌」の問題です。

抗菌薬を必要以上に使用すると、本来効くはずの抗菌薬が効かない細菌(薬剤耐性菌)が増えてしまいます。

世界的にも大きな問題となっており、将来、本当に必要な場面で薬が効かなくなる可能性があります。

そのため、抗菌薬は「必要なときに、必要な期間だけ使用する」ことが重要です。


◆ 耳鼻咽喉科で大切なのは「見極め」

 風邪症状がある患者さんに初めから抗菌薬を処方することは、まずありません。

一方で、急性副鼻腔炎・急性中耳炎・細菌性扁桃炎などでは抗菌薬が有効な場合があります。

耳鼻咽喉科では鼻・のど・耳を直接観察しながら、「単なる風邪なのか」「細菌感染が加わっているのか」を見極めながら治療方針を決定しています。



◆ よくある質問(Q&A)

Q. 風邪で抗生物質を飲めば早く治りますか?

A. 一般的な風邪の多くはウイルス感染なので、抗菌薬を飲んでも治りは早くなりません。


Q. 黄色い鼻水が出ています。抗生物質は必要ですか?

A.鼻水の色だけでは判断できません。

黄色や緑色の鼻水はウイルス感染でもよくみられます。

症状の経過や診察所見が重要です。


Q. のどに白いものが付いています。細菌感染ですか?

A.扁桃炎で白苔(はくたい)がみられることがあります。

ただし、ウイルス感染でも白苔が付着することがあり、白いものが付いているだけでは判断できません。やはり診察による評価が重要です。


Q. 扁桃炎なら必ず抗生物質が必要ですか?

A.必ずしも必要ではありません(ウイルス性扁桃炎であれば抗菌薬は効きません)。

細菌性扁桃炎が疑われる場合に処方を検討します。


Q. 副鼻腔炎になったら必ず抗菌薬が必要ですか?

A.軽症例では自然に改善することもあります。

症状の程度や経過をみながら判断します。


Q. 以前は風邪で抗生物質をもらっていましたが?

A.以前は細菌感染の予防目的で処方されることもありました。

しかし近年の研究では効果が限定的であることがわかり、現在は必要な患者さんに限定して使用する考え方が主流になっています。


◆ まとめ

 風邪のほとんどはウイルス感染であり、抗菌薬は効きません。

黄色い鼻水やのどの白い膿だけで細菌感染と決めつけることもできません。

一方で、細菌感染に伴う急性副鼻腔炎・扁桃炎・中耳炎などでは抗菌薬が必要になることがあります。


当院では、耳・鼻・のどの状態を丁寧に診察し、必要な方に必要な抗菌薬を適切に使用することを大切にしています。

風邪症状が長引く、のどの痛みが強い、顔面痛がある、耳が痛いなど気になる症状がありましたら、お気軽にご相談ください。



▶ 院長が診察で必ずお伝えしている 「耳・鼻・のど・体調管理のQ&A(院長解説)」


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