注射じゃないインフルエンザワクチン「フルミスト」について耳鼻科医が解説します
更新日:9月9日
2026年9月3日、京都府から「インフルエンザが流行期に入った」と発表されました。第35週(8月24~30日)の定点当たり報告数は2.26。流行開始の目安となる「1」を超えたためです。
「まだ9月なのに・・・??」と驚いた方も多かったのではないでしょうか。
ちなみに、2024年のインフルエンザ流行入りは11月10日、2025年は9月11日、そして今年は8月末から流行期に入るという、かなり早いシーズンの始まりとなりました。
新型コロナウイルス感染症も今や全く珍しくない感染症になりましたし、なかなか大変です。
インフルエンザに話を戻すと、当クリニックでは毎年10月初旬からワクチン接種の予約を開始して月末から接種を開始してきました。インフルエンザの予防で一番効果が高いのは、やはりワクチンなのです。
◆ 鼻から噴霧するインフルエンザワクチンが登場
そこで本題。
従来の「注射型」ワクチンに加えて、当院でも2025年から「注射じゃない」ワクチンを一部で導入することにしました。
針を刺さなくてもよい、点鼻薬みたいに鼻から投与する、という方法です。
「生ワクチン」と言われる種類で、鼻粘膜を介して「疑似感染状態」を作ることで免疫獲得を誘導するという仕組みです。
従来からある注射のワクチンは「不活化ワクチン」と言われるものですが、簡単に説明すると
生ワクチンは「弱毒化したウイルス」を使って、実際の感染に近い形で免疫を誘導します。一方、不活化ワクチンはウイルスの感染する能力をなくした成分を使って免疫を誘導します。
◆ 噴霧型ワクチンの注意点
とても良い!と言える噴霧型ワクチンですが、幾つかの注意点もあります。
●2歳以上、19歳未満が適応
2歳未満では安全性が確認できていない/19歳以上では免疫獲得効果が低下する、のが理由です
●接種後に発熱・鼻汁・咳などがでることがあります
通常の体調においてはほぼ問題ありませんが、軽い風邪様症状が出ることがあります
●気管支喘息の診断を受けている方は要注意
喘息の診断を受けている方は主治医に確認して下さい(当院での接種は行いません)
●卵・ゼラチンなどにアレルギーのある方は要注意
この経鼻ワクチンには精製ゼラチンが含まれています。また、鶏由来成分にアレルギーを起こすおそれのある方も接種前に確認が必要です。過去にワクチンでアレルギー反応を起こしたことがある方は、必ず事前にご相談ください。
●妊娠中の方、免疫機能に異常がある方などは接種できません
生ワクチンのため、妊娠中の方や明らかな免疫機能の異常がある方、免疫抑制治療を受けている方などは接種できません。
●その他
接種当日は運動を控える、接種後2週間ほどはワクチンに含まれるウイルスが周囲に伝播する可能性があるため免疫状態が低下している人と接触しない、など
耳鼻科医目線での注意点を追加
●鼻の状態によっては、噴霧しにくいことがあります
経鼻ワクチンなので、鼻閉や大量の鼻汁がある場合には、うまく鼻腔内に噴霧できないことがあります。当院では必要に応じて鼻の状態を確認し、接種前に鼻腔の処置を行います。
●重症のアレルギー性鼻炎などで、鼻への噴霧で強いくしゃみが誘発されやすい方

◆ 従来型ワクチンと経鼻ワクチンの比較
「針を刺さなくてよい」「(13歳未満の小児でも)1度でOK」「免疫が約1年間持続する」などのメリットがありますが、一方で上にお示ししたような注意点があること、接種費用がやや高い(8.000-8.500円の施設が多いようです)という点を考慮しなければなりませんね。

従来の注射型ワクチンとの比較を表にしてみましたので、参考にして下さい。
インフルエンザの予防はワクチンが一番であることに間違いありません。「どちらが優れている」というより、年齢や体調、注射への抵抗感などを考慮して、自分に合った方法を選ぶのがよいでしょう。
◆ まとめ
2024年から日本でも導入された経緯噴霧型インフルエンザワクチンについて耳鼻科医目線を含めて解説しました。
注射嫌いの子供さんを筆頭に、従来型ワクチンとの比較・メリット/デメリットを知った上で検討してみると良いのではないでしょうか。
メーカーさんの都合もありワクチンの入荷時期はまだ未定ですが、なるべく早くに接種開始できるよう体制を整えたいと考えています。
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