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睡眠時無呼吸症候群(SAS)と車の運転 ニュースから考える「安全運転」とCPAP治療の大切さ

8月7日
読了時間: 6分

更新日:8月24日

 2026年8月、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が関係したとみられる交通事故が報道されました。

報道によると、SASと診断されCPAP治療を指示されていた方が、事故前日にCPAPを使用せず車を運転し、居眠りによる事故を起こしたとして書類送検されています。


このニュースをご覧になり、

  • 「SASと診断されたら運転できないの?」

  • 「CPAPを使っていれば安心なの?」

  • 「運転するときに何に気を付ければいいの?」

と不安に思われた方もいらっしゃるかもしれません。


しかし、SASと診断されたからといって、運転が禁止されるわけではありません。

道路交通法や運転免許制度でも、重要なのは病名そのものではなく、日中の強い眠気などによって安全な運転に支障を及ぼす状態かどうかです。

適切な治療を受け、眠気が改善している多くの患者さんは、普段どおり仕事や日常生活、車の運転をされています。


「受診の目安:当院の診療案内」

 SASが心配な方、睡眠の質が良くない自覚がある方、いびきが大きいと言われる方など。

気道の状態評価、睡眠検査、診断から適切な治療への流れをワンストップで対応しています。




◆ 問題なのは「眠気を自覚しているかどうか」だけではありません

 今回の事故では、SASの治療としてCPAPを指示されていたにもかかわらず、事故前日に使用していなかったことなどが報道されています。

もちろん、強い眠気を自覚しながら運転することは重大な事故につながる危険があります。

しかし、SASについてもう一つ注意していただきたいことがあります。

それは、長期間にわたって日中の眠気が続いていると、その状態に「慣れてしまう」ことがあるということです。


SASの患者さんの中には、「自分ではそんなに眠いとは思っていませんでした」という方が少なくありません。

長期間の睡眠不足や睡眠の分断が続くことで、眠気や集中力の低下が「いつもの状態」になり、本人は眠気を強く自覚していなくても、実際には注意力や反応速度が低下している可能性があります。

そのため、

「眠くないから大丈夫」

という自己判断だけで、運転の安全性を判断することはできません。

SASと診断されている方は、眠気の自覚の有無にかかわらず、適切な治療を継続することが大切です。


◆ CPAPは「いびきの治療」だけではありません

 「いびきが減ったから、たまにはCPAPを使わなくても大丈夫。」

そのように考えてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、CPAP治療の目的は、いびきを改善することだけではありません。


睡眠中の無呼吸を改善することで、

  • 日中の眠気を軽減する

  • 集中力や判断力を保つ

  • 高血圧や心血管疾患などのリスクを減らす

  • 居眠り運転や交通事故のリスクを減らす

といった大切な役割があります。


つまり、CPAPは毎日の生活や仕事、そして運転の安全を支える治療でもあるのです。


◆ CPAP治療は交通事故リスクの低減にもつながります

 海外のメタ解析では、睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者さんは、交通事故を起こすリスクが健常者の約2.4倍になることが報告されています。

一方、CPAP治療を継続した患者さんでは、交通事故リスクが約70%低下したことも報告されています。


🚗 CPAP治療前

😴 CPAP治療後

交通事故リスク 約2.4倍

交通事故リスク 約70%低下


つまり、CPAPは単に「いびきを改善する治療」ではありません。日中の眠気を改善し、ご自身だけでなく、ご家族や周囲の方の安全を守るための治療でもあるのです。


参考文献

  1. Tregear S, Reston J, Schoelles K, Phillips B. Obstructive Sleep Apnea and Risk of Motor Vehicle Crash: Systematic Review and Meta-analysis. J Clin Sleep Med. 2009;5(6):573-581.

  2. Tregear S, Reston J, Schoelles K, Phillips B. Continuous Positive Airway Pressure Reduces Risk of Motor Vehicle Crash among Drivers with Obstructive Sleep Apnea: Systematic Review and Meta-analysis. Sleep. 2010;33(10):1373-1380.



◆ CPAPは「70%・4時間」が一つの評価基準です

 CPAP治療では、治療状況を評価する一つの目安として、

「全体の70%以上の日数で使用し、使用した日は平均4時間以上使用すること」

が用いられています。


ただし、これは**「ここまで使えば十分」という目標ではなく、あくまで治療継続状況を評価するための最低限の目安**と考えてください。


睡眠時無呼吸は、CPAPを外して眠っている間は再び起こります。

そのため、就寝から起床まで、一晩を通してCPAPを使用することが理想的です。

「4時間使ったから十分」「週に数日は使わなくても大丈夫」と考えるのではなく、毎晩、できるだけ睡眠時間すべてにわたって使用することを目標にしましょう。


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◆ 安全運転のために心掛けていただきたいこと

 当院では、CPAPをご使用中の患者さんに次のことをお願いしています。

  • CPAPは毎晩使用しましょう。

  • 「今日は大丈夫」と自己判断で治療を中断しないようにしましょう。

  • CPAPを使用していない日に、「眠くないから大丈夫」と自己判断して運転することは避けましょう。

  • 強い眠気や睡眠不足がある日は運転を控えましょう。

  • 運転中に眠気を感じたら、無理をせず安全な場所で休憩しましょう。

  • CPAPが合わない、使いづらい、眠気が改善しない場合は、早めにご相談ください。

特に大切なのは、**「眠気の自覚だけを安全運転の判断材料にしないこと」**です。


◆ 院長から皆さまへ

 今回のニュースは、「SASは危険な病気」ということを伝えたいものではありません。

むしろ、適切な治療を継続することで、防ぐことのできる事故があることを示しています。

SASは、きちんと治療を続けることで日中の眠気が改善し、多くの方が安全に仕事や運転を続けることができます。

一方で、治療を自己判断で中断したり、眠気を自覚していないことを理由に運転したりすることは、重大な事故につながる可能性があります。


「毎晩CPAPを使用すること」と「眠気の自覚だけで安全を判断しないこと」。

この2つを、SAS患者さんの安全運転の基本として覚えておいていただきたいと思います。

「最近CPAPを十分使えていない」「治療しているのに眠気が残る」「運転中にヒヤッとしたことがある」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。


 今回の報道で私が特に気になったのは、**「事故前日にCPAPを使用していなかった」**という点です。

CPAPは、薬のように一度使用すれば翌日まで効果が続く治療ではありません。使用していない夜には、その夜の無呼吸が再び起こる可能性があります。

「一晩くらいなら大丈夫」と考えず、毎晩CPAPを使用することを習慣にしてください。

それが、ご自身と大切な人、そして道路を利用する周囲の方々を守ることにつながります。



「受診をご検討の方へ」


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