検査で異常なし?実はアレルギーだった『局所性アレルギー性鼻炎』とは
- shibata.ent

- 2024年6月5日
- 読了時間: 3分
更新日:11月10日
最近、「アレルギー性鼻炎」の診療ガイドライン(GL)が改訂されました。その中で注目すべき変化があり、実は私自身が2016年に書いた記事内容と深く関係していたので、今回はその記事を再掲しつつ、最新の情報を交えて解説します。
💬 「検査で異常なし」でも花粉症のような症状が…
Aさんは、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみに悩み受診しました。医師も本人も「アレルギー性鼻炎(花粉症)だろう」と思って治療を進めていましたが、採血で調べるとアレルギー反応は“陰性”。
Aさん:「絶対に花粉症だと思ってたのに!」と驚く結果に。
こうした事例、実は少なくありません。
🧬 鼻の中だけで起こる「局所性アレルギー性鼻炎」
近年、**鼻粘膜の局所だけでアレルギー反応が起こる「局所性アレルギー性鼻炎(LAR)」**という病態が明らかになりました。
このタイプでは、血液検査(IgE抗体の測定)ではアレルギー反応が見られませんが、鼻水を採取して検査すると、鼻の中でのみアレルギー反応が起きていることが確認されます。
つまり、「採血では分からないアレルギー」が存在するのです。
⚠️ 放っておくと花粉症や喘息に進行することも
局所性アレルギー性鼻炎の方の中には、・のちに典型的なアレルギー性鼻炎(花粉症)に進行する・さらに喘息を発症するケースがあることが分かっています。
いわば「花粉症予備軍」ともいえる状態です。
そのため、「検査で陰性だから安心」ではなく、早い段階からアレルゲン(花粉・ホコリ・ペットの毛など)を避ける対策が大切です。
🔍 診断には「鼻誘発試験」という方法も
局所性アレルギー性鼻炎を確定診断するためには、鼻誘発試験(アレルゲンを鼻粘膜に少量接触させ、症状が出るかを確認する検査)を行います。ただし、この検査は専門的で、一般のクリニックでは実施が難しいのが現状です。
📝 日常生活でできるセルフチェック
局所性アレルギー性鼻炎が疑われる場合は、治療(内服・点鼻薬)と並行して次のような状況をメモしておくと役立ちます。
屋外や風の強い日に悪化しやすい
エアコンの効いた部屋に長時間いると症状が出る
急な気温差でくしゃみが止まらない
寝不足や疲労時に鼻づまりが悪化する
このような「きっかけ」を把握することで、日常生活での予防対策にもつながります。
🌿 まとめ:検査で異常なしでも、油断しないで
局所性アレルギー性鼻炎は、まだ十分に知られていない病態ですが、放っておくとアレルギー性鼻炎や喘息に進行するリスクがあります。
症状が続く方は、「検査で陰性でもアレルギーの可能性がある」という視点を持ち、耳鼻咽喉科で相談してみてください。早めの対応が、つらい季節の症状を軽くする第一歩です。
鼻の病気をさらに深掘り ⇒ 耳鼻科一般の病気・鼻





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