鼻うがいのメリット・デメリットを耳鼻科医目線で解説します
- shibata.ent

- 2016年3月16日
- 読了時間: 4分
更新日:4 時間前

「鼻うがいって本当に効果あるの?」
「やりすぎると逆に悪いって聞いたけど…」
外来でほぼ毎日のように受ける質問です。
ということで、今回は耳鼻科医の立場から、鼻うがいの【メリット・デメリット】をできるだけ分かりやすく解説します。
この鼻うがい、文字通り<鼻の中を”うがい”して洗浄する>という方法なんですが、花粉症・副鼻腔炎・慢性鼻炎などによる鼻づまりなどの不快な症状を和らげたい方にも注目されている方法です。。
◆ 鼻うがいの目的は?
外部から侵入した異物(ホコリ・花粉など)をブロックする、鼻腔に入ったウイルスを捕らえて感染を予防・阻止する、吸い込んだ空気の温度・湿度を適切な状態に保つ、などの役割を持つ鼻。
その鼻の中をキレイにする目的で洗浄するんです。のどを守るためにうがいするのと同じ感覚、と考えてもらうとわかりやすいかもしれません。
ただ、どんな方法にもメリット・デメリットがあるので、その部分を知った上でトライして欲しいのです。今回はそのお話し。
◆ 洗浄水の作り方・洗浄方法
◎食塩水の作り方
お湯(37度前後)1リットルに食塩9gを溶かします(濃度でいえば0.9%)。
洗浄に用いる量は1度に約300ml程度でしょうか。
最近ではドラッグストアやネットで1回分ずつ分包して販売されているものもあります。
◎洗浄器具
様々なものがありますが、どれも目的・使用方法はほぼ同じ。
◎洗浄方法
「えー」と声を出しながら片方の鼻腔を洗浄
洗浄液は反対側の鼻孔、もしくは口から出てくる(※洗浄中は強く吸い込まず、自然に流れるのを待ちましょう)
◆ 鼻うがいのメリット
・洗浄することで鼻腔内を清潔に保つことができる(出しきれない鼻汁を洗い流す)
・鼻粘膜をキレイな・良い状態にすることで免疫機能を保持・向上させる
・結果、鼻づまり・鼻閉・後鼻漏(鼻がのどの流れ込む)などを軽減できる
◆ 鼻うがいのデメリット(❌ やってはいけない鼻うがい)
・水道水をそのまま使う(温度・塩分濃度が適切でないと、かえって炎症を起こしてしまう)
・勢いよく一気に流し込む(圧力が強すぎると中耳炎を起こすことがある)
・片側だけ詰まっている状態で無理に行う
・洗浄後に鼻をかまず放置する(洗浄後にキチンと鼻をかまないと耳・鼻・副鼻腔の炎症を起こすことがある) = 鼻をキチンとかめない人には難しい
<鼻うがいをおすすめできないケース>
強い鼻出血が続いているとき
急性中耳炎・耳の痛みがあるとき
完全に鼻が詰まっていて液が通らないとき
小児(特に自己管理が難しい年齢)
◆ 鼻うがいのタイミング・頻度
もちろん、「実際に炎症が起こった時に初めて洗浄」はダメです。
調子が悪くなってから慌てて洗浄を、では遅いんですね。
要するに、「良い状態を保つために普段から行いましょう」ということなんです。
おすすめのタイミング
花粉・黄砂が多い日
掃除・大掃除の後
屋外活動が長かった日
毎日必要?
健常な方:必要なし
慢性鼻炎・副鼻腔炎:毎日でも可
同じ目的で「蒸気吸入」という方法もありますが、こちらも安全性も高くて安心かな、と思っています(鼻洗浄機器の販売会社さん、スミマセン)。
<よくある質問>
❓ 鼻うがいは毎日していい?
鼻の状態が良ければ、毎日の必要はありません。ホコリっぽい環境にいた後や花粉の時期など、状況に応じて行うのが理想です(慢性鼻炎/副鼻腔炎の方は毎日できると理想的)。
❓ 鼻うがいで痛い・ツーンとするのは?
食塩濃度や温度が合っていない可能性があります。0.9%(お湯1Lに食塩9g)の濃度と温度(37℃前後)を守ると刺激が軽減します。
◆ まとめ
日常的に鼻うがいをすることで鼻の中をキレイに保ち、結果として本来の「鼻の機能」が十分に働くようにできるという訳ですね。
鼻うがいは「正しく行えば、非常に安全で効果的」なセルフケアですが、自己流で続けて調子を崩す方も少なくありません。
不安がある場合は、遠慮なく耳鼻科で相談してください。
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