注射じゃないインフルエンザワクチンについて耳鼻科医目線で解説します
- shibata.ent

- 9月17日
- 読了時間: 3分
更新日:11月6日
9月11日、京都府から「インフルエンザが流行期に入った」と発表されました。
「まだ9月なのに・・・??」
ちなみに、2024年のインフルエンザ流行入りは11月10日でしたから、今年は2カ月近くも早い流行入りとなった訳です。
新型コロナウイルス感染症の発生も高止まりなので、なかなか油断できない状況ですね。
インフルエンザに話を戻すと、当クリニックでは毎年10月初旬からワクチン接種の予約を開始して月末から接種を開始してきました。
ただ、今年の「極端に早い流行入り」を考慮して、可能であれば接種開始時期を前倒しできないかなー、と思案・検討中です(決定したらHP及び公式LINEでご案内します)。
鼻から噴霧するインフルエンザワクチンが登場
そこで本題。
今年から、従来の「注射型」ワクチンに加えて、「注射じゃない」ワクチンを一部で導入することにしました。
針を刺さなくてもよい、点鼻薬みたいに鼻から投与する、という方法です。
「生ワクチン」と言われる種類で、鼻粘膜を介して「疑似感染状態」を作ることで免疫獲得を誘導するという仕組みです。
従来からある注射のワクチンは「不活化ワクチン」と言われるものですが、簡単に説明すると
生ワクチンは「弱った生きたウイルス」で強い免疫を、不活化ワクチンは「死んだウイルス」で安全に免疫をつける、という違いです。
噴霧型ワクチンの注意点
とても良い!と言える噴霧型ワクチンですが、幾つかの注意点もあります。
●2歳以上、19歳未満が適応
2歳未満では安全性が確認できていない/19歳以上では免疫獲得効果が低下する、のが理由です
●接種後に発熱・鼻汁・咳などがでることがあります
通常の体調においてはほぼ問題ありませんが、軽い風邪様症状が出ることがあります
●気管支喘息の診断を受けている方は要注意
喘息の診断を受けている方は主治医に確認して下さい(当院での接種は行いません)
●卵・ゼラチンのアレルギーがある方は接種不可
●その他
接種当日は運動を控える、接種後2週間ほどは免疫状態が低下している人と接触しない、など
耳鼻科医目線での注意点を追加
●鼻の調子が悪い時に接種すると効果が減弱するリスク
鼻の炎症が収まっているのは前提ですが、さらに当院では接種前に鼻の吸引処置を行います
●重症アレルギー性鼻炎の方で、点鼻薬使用でくしゃみ発作が出やすい人

従来型ワクチンと経鼻ワクチンの比較
「針を刺さなくてよい」「(13歳未満の小児でも)1度でOK」「免疫が約1年間持続する」などのメリットがありますが、一方で上にお示ししたような注意点があること、接種費用がやや高い(8.000-8.500円の施設が多いようです)という点を考慮しなければなりませんね。

従来の注射型ワクチンとの比較を表にしてみましたので、参考にして下さい。
インフルエンザの予防はワクチンが一番であることに間違いありません。いずれの方法を選択するにせよ、必要なタイミングで接種を受けられると良いですね。
まとめ
2024年から日本でも導入された経緯噴霧型インフルエンザワクチンについて耳鼻科医目線を含めて解説しました。
注射嫌いの子供さんを筆頭に、従来型ワクチンとの比較・メリット/デメリットを知った上で検討してみると良いのではないでしょうか。




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